「ITC (International Test Conference) 2017」(米テキサス州フォートワースで2017年10月31日~11月2日に本会議開催)のセッション 4「Dealing with Jitter and Leveraging Light」では、アナログ回路のテスト技術に関する発表が行われた。デジタル回路のテスト技術の向上で出荷チップの故障率は数ppm(parts per million)程度まで低減されてきた。しかし、アナログ回路のテストカバレッジが低く、出荷チップ全体で1ppm以下の故障率を実現するには、アナログ回路のテストカバレッジを向上させる必要がある。

 このセッションの最初の講演は、ベルギーKatholieke Universiteit LeuvenとベルギーON Semiconductor社からの「Nonintrusive Detection of Defects in Mixed-Signal Integrated Circuits Using Light Activation」である。まず、出荷チップの故障率は10ppb(parts per billion)まで下げる必要があるとした。出荷後に故障が判明するケースの原因は、アナログ78%、配線18%、デジタル4%だと述べて、アナログ回路テストの重要性を改めて強調した。この発表で提案された手法では、回路に光を当ててソース・ドレイン-ウェル間の逆バイアスPN接合に光電流を発生させ、その際の出力電圧の変化からアナログ回路の故障を発見する。

 例えば、3.3V動作のユニティー・ゲイン・オペ・アンプにおいて動作電圧範囲は正常時に0V〜2.2Vとなっているケースで、最終段PMOSのソース側の配線が切れている場合には動作電圧範囲は0V〜1.5Vとなる。範囲は狭くはなっているが、ある程度の範囲で正常動作しているため、通常の試験でこの故障を発見するのは難しい。ここで、回路に光を当てて測定すると出力電圧はマイナス値となり、断線していることの判断が容易になる。フォトダイオードの等価回路は非常に簡単で広く使われる電流源・抵抗・容量の並列接続モデルを使用することができ、容易にSPICEによる故障シミュレーションが可能である。ON SemiconductorのRF回路に対して様々な故障シミュレーションで試したところ、光照射測定を行うことで故障検出率が27%向上することが分かった。