クルマのセキュリティー(悪意のある第3者からの攻撃に対する耐性)が大きな関心を呼んでいる。自動運転や、車載ソフトウエアの無線通信による更新などが現実に近づいていることがその背景にある。これによって、OEM(自動車メーカー)のソフトウエアへの関わり方が変化したことを、独BMW Car IT社のWolfgang Lenders氏が語った。

 同氏は、ドイツ・ミュンヘンで2016年11月7日に開催された講演会「electronica Automotive Conference 2016」において「Approaches to Automotive Software Updates – Challenges and Security Implications」というタイトルで話した。この講演会は、エレクトロニクスの国際展示会「electronica 2016」(ドイツ・ミュンヘンで2016年11月8日~11日に開催)の関連行事である。

Wolfgang Lenders氏 日経エレクトロニクスが撮影。
Wolfgang Lenders氏 日経エレクトロニクスが撮影。
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 同氏によれば、かつての車載ソフトウエアはそれぞれが独立したECUに含まれていたため、ECUメーカーであるTier1に任せておく方が良かった(下図の左)。しかし、最近、ソフトウエアの統合や管理は自動車メーカーの独BMW社が担う方針に転換したという(下図の右)。まずはインフォテインメントシステムのソフトウエアについて、新しい方針を適用するようだ。

車載ソフトウエアの管理・運用者に変化 BMW Car ITのスライド。
車載ソフトウエアの管理・運用者に変化 BMW Car ITのスライド。
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 BMWが新方針を採ったのは、この方がメリットが大きいからだという。例えば、自動運転やADASなど、複数のECUで実現する機能の場合に、セキュリティーを確保しやすい。自動車の差異化につながる新技術の取り込みがスピーディーに行えることも重要だとした。従来のようにTier1に任せる方法では、時間がかかりすぎるという。