服用履歴を隠したまま副作用との相関関係を分析

日立製作所研究開発グループシステムイノベーションセンタの長沼健氏
日立製作所研究開発グループシステムイノベーションセンタの長沼健氏
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 続いて登壇した長沼氏は、複数の処方薬の服用履歴と副作用の相関関係について、服薬履歴を秘匿したまま相関関係を分析するという検索可能暗号のユースケースを解説した。  検索可能暗号では分析対象となるデータだけでなく、問い合わせ(クエリー)やその回答となる集計・分析結果も暗号化したままデータベースとやり取りできる。このため、「ベンダーをまったく信頼していなくても、クラウドに保管したデータの集計・分析ができる」(長沼氏)というメリットが得られる。実際に10万件規模のテストデータを用いて共通鍵型検索可能暗号の性能を評価したところ、集計は80m秒、相関ルール分析(支持度1%以上の相関ルールを列挙)は10分ほどで処理できたという(実行環境はCPU:Intel Core i7 X3820、メモリー:32Gバイト、OS:CentOS)。

 一般口演37「セキュリティとプライバシー保護」ではこのほか、「二兎追うためのパーソナルデータポリシー」(名古屋大学大学院経済学研究科 藤田卓仙氏)、「電子カルテアクセスログ開示システムを用いた不正閲覧パターンの分析」(兵庫医科大学情報センター 高橋翼氏)、「病院ネットワークにおいて検出された脆弱性」(琉球大学医学部附属病院医療情報部 山本俊成氏)の発表があった。