日本マイクロソフト パブリックセクター クラウドソリューション統括本部 医療ソリューション技術営業部のプリンシパルテクノロジーストラテジスト 遠山仁啓氏は、「デジタルヘルスDAYS 2016」(2016年10月19~21日、主催:日経BP社、協力:日経デジタルヘルス)のカンファレンスに登壇。「クラウドサービス&デバイスを活用した医療現場でのケーススタディ」と題して講演した。

講演する遠山氏
講演する遠山氏
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 同社のヘルスケアチーム事業の3本柱は、“プロダクティビティとビジネスプロセス革新”、“クラウドによるインテリジェント化”、“パーソナルコンピューティング(デバイス)”。

 プロダクティビティの事業は、クラウドサービス上にセットされたSaaS型のコラボレーションツールを医療機関の職員に提供し、業務効率を支援するもの。Office365、SharePoint、Exchange、Skype(ビジネス向け)、ShrePointと連携した個人用データストレージのOneDriveなどがあり、医療機関の採用実績が拡大。また、こうした製品群と連携して文書類の情報漏えい対策として、Rights Management Services(RMS)の採用が伸びているという。「Office文書やメールをファイル単位で暗号化し、権限を持たない人は一切ファイルを開くことができない。また、閲覧のみや印刷/コピーの可否など細かい制御ができることから、診療文書などの管理に利用されている」。

 こうしたクラウド型のコラボレーションツールの医療機関最大ユーザーは、亀田メディカルセンターで、約4000ユーザーがクラウド型Office365を利用している。「同センターのCIOは、お金をタンス預金でなく金融機関に預けると同様に、重要な患者情報もセキュリティーが堅牢なデータセンター事業者に預けた方が安全だという考えを持っている」と、情報系のシステムを院内で管理・運用する考えは変わりつつあると指摘した。

 また、国立国際医療研究センターではクラウド型Office365およびRMS、Exchange Online、ShrePoint Online、OneDriveなどを導入、病院外からメールや情報資産への安全なアクセスを可能にし、文書類のセキュリティー強化を図った。「約2200人の職員が病院外から自分のスマートフォンでもアクセスできる環境を整備。ログイン認証を強化するため、ID/パスワード、デバイス認証、ワンタイムパスワードの複数で確認する多要素認証技術を利用している」と説明した。