質の良い食事「スマート和食」。花王がそんな提案を開始した――。

 同社 エグゼクティブ・フェローの安川拓次氏は、「デジタルヘルスDAYS 2018」(主催:日経BP社、日経デジタルヘルス)のオープンシアターに登壇し、弘前COIに参画してかねて進めてきた内臓脂肪の研究成果について講演を行った。その成果の一つが、スマート和食というわけだ。

 同社はこれまでに、内臓脂肪計をパナソニックと共同で開発。従来、正確に内臓脂肪を測定するためには、腹部CT画像を撮影しなくてはならなかったが、内臓脂肪計は腹部に装着するだけで電気的インピーダンスを使って内臓脂肪を測定することができる。被曝を気にせず手軽に何度でも測定することを可能にした。

展示ブースで披露した内臓脂肪計
展示ブースで披露した内臓脂肪計
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 内臓脂肪計を使って内臓脂肪と食事の関係を調べたところ、腹部の脂肪は食べすぎや運動不足によって増えるが、「質の良い食事を心掛ければ、お腹一杯食べても内臓脂肪が減ることが分かった」と安川氏は話す。

 具体的には、次のような要素を含んだ食事が“質の良い食事”だという。すなわち、(1)脂質が少なくたんぱく質が多いこと、(2)糖質と一緒に食物繊維を取ること、(3)糖質中のオメガ3脂肪酸(不飽和脂肪酸の1種)の比率が多いこと、である。

同社 エグゼクティブ・フェローの安川拓次氏
同社 エグゼクティブ・フェローの安川拓次氏
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 この3つの要素を全て満たした食事を同社はスマート和食と命名した。スマート和食の特徴は、「腹持ちが良く満足感を得られ、食後の熱産生(代謝に伴う消費エネルギー)が大きく、継続摂取することで内臓脂肪が有意に減少すること」と安川氏は説明する。既に花王社内では、全事業所の食堂でスマート和食のメニューを展開しており、2018年6月には社外の人にもスマート和食を知ってもらうためにレシピ本を出版した。

 スマート和食は、1食およそ700kcal。食べたときに満足感も感じられるようにすることで、「質の良い食生活を継続してもらいたい」(安川氏)という狙いがあるという。