経済産業省が2018年10月9日に開催した国際会議「1st Well Aging Society Summit Asia-Japan」では、日本医師会 会長の横倉義武氏が基調講演に登壇した。同氏は、優れた人材と高度な技術を要する日本の企業群は貴重な財産だとした上で、「それらを効率的に活用して医療の発展に努めていく」と語った。

基調講演に登壇する横倉氏
基調講演に登壇する横倉氏
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 横倉氏は日本の国民皆保険制度に触れ、同制度が社会の安定をもたらし、日本を高度な文明社会に押し上げる基盤になったと強調した。しかし、高齢化率の増加により、その財源が圧迫されつつあると指摘。そこで重要になるのが、健康寿命延伸の成否だと語った。「健康寿命延伸は、社会保障の持続可能性、日本の将来を握っている」(同氏)。

 健康寿命延伸に向けては、日本の英知を結集する必要があると横倉氏は訴える。その前提として、現在、医薬品・医療機器はもとより、IoTやAI、ロボット、画像認識、バイオ、金融、都市開発、流通、スポーツなどのあらゆる分野で新しいテクノロジーが開発され、関連ビジネスが進行していると指摘。それら多様な産業からの健康医療分野への進出が進んでおり、イノベーションが起こりつつあるとした。

 横倉氏は、「医師会の第1の使命は国民皆保険と医療の非営利性の堅持にある」とした上で、「こうしたイノベーションによる成果を医療現場に取り込み、最善の医療を患者に届けることも我々の重要な役割だ」と述べた。