経済産業省が2018年10月9日に開催した国際会議「1st Well Aging Society Summit Asia-Japan」では、世界のベンチャー企業による高齢化(Aging)をテーマにしたピッチコンテストが開催された。審査を通過したファイナリスト8社が最終プレゼンを行い、グランプリを競った。

 ファイナリストに選ばれた8社(登壇順)は、中国GYENNO Technologies社、イスラエルIntuition Robotics社、シンガポールI’m Soul社、日本のmediVR、サウンドファン、台湾LongGood MediTech社、フィンランドVideoVisit Global社、トリプル・ダブリュー・ジャパンである。

国際会議「1st Well Aging Society Summit Asia-Japan」では複数のピッチコンテストが開催された
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国際会議「1st Well Aging Society Summit Asia-Japan」では複数のピッチコンテストが開催された

手の震えを伝えないスプーン

 最初に登壇したのはGYENNO Technologies社でMarketing Directorを務めるHayes Chan氏。パーキンソン病の患者に向けた電子スプーン「GYENNO SPOON」を手掛けている。思うように体を動かせず、スプーンを持つ手が震える人の課題解決を図る。

GYENNO Technologies社でMarketing Directorを務めるHayes Chan氏
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GYENNO Technologies社でMarketing Directorを務めるHayes Chan氏

 スプーンの持ち手にセンサーやモーターなどが内蔵されており、検知した手の震えを吸収するようにスプーンを細かく動かして水平に保つ。手が震えてもスプーンに載せた食べ物を落とさずに口元まで運ぶことができる。第2世代の製品は回転機能を加え、フォークでスパゲッティーを巻き取って食べられるなど「より食事が楽しくなるようにした」(Hayes Chan氏)。

 Hayes Chan氏によると「中国の多くの病院が導入しており、既に大きなシェアを獲得している」という。中国以外では米国で2017年、欧州で2018年から販売しており、価格は200米ドル程度になる。

 GYENNO Technologiesの本社は深センで従業員は約110人。GYENNO SPOONのほかに、歩行の補助具や動きを検知するデバイスなどの開発を進めている。歩行補助具は足が動かず前にだせないパーキンソン病の人の足元をレーザー光で照らす装置で、光に合わせて歩けるようになるという。動きを検知するデバイスは睡眠の評価などに使うことを想定している。