CEATEC JAPAN 2016

風船を優しく持つ感覚を、ロボットに憑依させる技術

  • 内山 育海
  • 2016/10/17 17:20
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 慶応義塾大学 ハプティクス研究センターは、同大学理工学部 野崎研究室と共同で、物に触ったときの感触を再現する技術のデモを「CEATEC JAPAN 2016」(2016年10月4~7日 幕張メッセ)で展示した。触感を数値化して伝送し、コントローラーで再現することで、機械が持つ物をあたかも自分で持っているかのように感じることが可能になる。さらに、人が操作した機械で対象物を持ったときの力加減を記憶し、ロボットアームなどに導入すれば、つかむ対象物の柔らかさや形状に応じた繊細な作業を自動化できる。

ブースで展示した、各デモの説明パネル。
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 触覚を再現するハプティクス(触覚)技術は、アルプス電気も「CEATEC JAPAN 2016」で展示していた(関連記事)。アルプス電気の技術は、グミやモルタルなどの特徴的な触り心地を仮想的に再現するもの。これに対して、慶応義塾大学の技術は機械が触れる現実の物体の感触を伝える「リアルハプティクス」技術だ。ロボットが対象に力を加えたときの反作用の力と対象の位置変動の情報を電気信号に変換し、操作者が持つコントローラーに送るとアクチュエーターが動作して触感が再現される。操作者がこの感覚を頼りにロボットのコントローラーを操れば、ロボットは適切な力加減で物を持つことができる。遠隔地からの農産物の収穫や、強い力を加えると変形してしまう物のピッキング自動化などでの利用を想定しているという。

 ブースでは、「IoTハンドル」「ハプティック人工手」「GP-Arm(汎用上肢)」の3種類のデモを展示した。

「IoTハンドル」として展示した、ステアリングシステムの模型。
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 「IoTハンドル」は、自動車の走行時にタイヤが路面から受ける力や位置変化の情報をハンドルに触感として伝達するもの。砂利道や凍結などの路面の状態をドライバーが手元で感じることで、路面の状態に合わせた安全運転や、運転の楽しさの向上につながるという。

コントローラーの操作で対象物を握る「ハプティック人工手」。風船を握った感覚をコントローラーに伝える。
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 「ハプティック人工手」は、つかんだ物の感覚を体の他の部位に伝達できる義手である。足などの部位に触感を伝えることで義手を操作しやすくする狙いである。従来の義手は、何かをつかむことはできても、その触感を利用者に伝えることは難しかったという。

 ブースでは、風船を握る「ハプティック人工手」の触覚を、足の裏に設置したコントローラーに伝えるデモを実施した。コントローラーのレバーを足の指で踏み込むと義手が開閉し、握る力を強めたときの風船の反発や、力を強めて風船が破裂する感覚を感じられる。このハプティック人工手は、「CEATEC AWARD 2016」の審査員特別賞を受賞した(関連記事)。

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