チェック・判定処理などのトリガーを生成可能な基盤

 高度な診療支援機能の構築に向けての要点として、飯田氏は次の4点を挙げた。すなわち、(1)処理の起点となる操作やデータを監視しイベントを発生させるチェック機構の集約化と汎用性の確保、(2)多岐にわたるチェック用データをオンデマンドで高速取得できる、(3)チェック結果と場面に応じたメッセージやアクションの提示、(4)ノンプログラミング指向によるチェック・判定機構の実現とルールの集約化・可視化、である。

 飯田氏は「(1)~(3)は既存電子カルテシステムの機能拡充や構成を単純化・洗練し再定義を実施、(4)については新規構築を行い、これらの要素の組み合わせによって高度な診療支援機能の実装基盤とした」と述べた。

 同病院の電子カルテシステムでは、操作やデータが流通する過程の各場面においてXML形式でその情報をはき出す仕組みが組み込まれていた。「例えば、処方を入力した際に過剰投与かどうか、用法との組み合わせで適正か、マスターと適合させチェックを行う過程をXML化。確定・終了動作時にそれらを集約したオブジェクトとしてカルテ記事に組み込まれ、逆に途中過程をXMLで簡単に取り出せる」(同氏)。

 同様に、カルテ保存操作の際もデータベースに書き込まれるトランザクションデータをXML化し、他者が発生させたトランザクションが影響していないかの整合性チェック、カルテ記載単位で行うチェック、支援などに利用できるようになっている。最後にデータがコミットメントされ、他のシステムに伝達する、あるいは他システムから電子カルテのステータスを変えるデータが流れてくるといったデータ流通を捕捉する一連の流れをXMLで取り出せる仕組みだという。「各データの発生・流通場面における監視・イベントの発生を容易に捕捉できることから、複雑なルール判定や判定に必要なデータの検索プロセスを付加するのみで、高度な診療支援のイベント発生を担うことが可能な仕組みがあった」(同氏)と説明した。