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 第21回 日本医療情報学会春季学術大会(シンポジウム)が2017年6月1日、福井市のフェニックス・プラザで開幕した。今大会のテーマは、「医療情報における解体新書 -医療ICTの変革における医療情報の役割-」である(関連記事)

 今大会は、直前の5月30日に改正個人情報保護法が施行され、要配慮個人情報や匿名加工情報という医療・介護現場の病歴の取り扱い、研究分野での医療情報の活用に大きな影響を及ぼすトピックがあった(関連記事)。また、同法に関連して大幅改定された厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の公開もあった(関連記事)

 さらに、同日に開催された第9回未来投資会議においては、医療・健康分野におけるデータ利活用基盤の構築、遠隔診療やAI(人工知能)活用などが盛り込まれた「未来投資政略2017」がまとめられた。こうした医療分野に深く関係するトピックが注目される中での大会となる。

開会の挨拶をする大会長の山下氏
開会の挨拶をする大会長の山下氏
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 6月2日に実施された大会長講演では、福井大学医学部附属病院医療情報部 准教授の山下芳範氏が登壇。「なぜ『医療情報における解体新書』なのか~IoT・ビッグデータ時代に向けて~」と題して講演した。同氏は「医療情報の分野はいま転換期にある」とし、IoT(Internet of Things)による精度の高いデータ収集やビッグデータ解析が医療分野の変革をもたらすことを示唆。技術や環境の革新を生かすためには、「仕組みや特性を理解し、どのような利用が可能か“解体”して考えることが必要だ。それによって、この先の展開が可能になるだろう」と述べた。