2017年5月に米国で開催されたディスプレー最大の学会「SID」の参加者は、シンポジウムが昨年並みの約2196名、展示会が昨年より500名程度増加して約7039名と大変盛況だった。提出されたアブストラクト論文の総数は4年連続で増加し、合計700件近くに達している。特に中国からの参加者や論文の数が増えているという。

 基調講演の1人目として登壇した台湾AU Optronics社(AUO)CEOのPaul Peng氏は、有機ELに過熱気味の中国を牽制する意図かもしれないが、液晶はまだまだフラットパネルディスプレー(FPD)の主流であり続けると主張した。フレキシブル有機ELのような過当競争を避けて、臨機応変に堅実なビジネスを見つけていくのが台湾FPDメーカーの基本戦略なのかもしれない。

 2人目として登壇した米Google社のVice President of Virtual RealityのClay Bavor氏は、様々な動画を使いながらVR/ARの未来について語った(関連記事)。当たり前の話ではあるが、コンピューターで合成された情報と自然の情報との割合を横軸に取ると、現実とVRの中間にARが位置しており、目的に応じてARやVRが使い分けられるという説明は分かりやすい。

 3人目として登壇した米Harman International社のPresident, Connented ServicesのSanjay Dhawan氏は、インテリジェント空間として自動車を捉えたとき、車内で何が体験できるようになるのか様々な可能性を紹介してくれた。Harman社は韓国Samsung Electronics社との全面的な協業を推進しており、自動車メーカーと電機メーカーの垣根は今後ますます低くなっていくことだろう。