第7世代のIGBTを搭載した「IGBTモジュールTシリーズ」。左がNXタイプ、右がスタンダードタイプ
第7世代のIGBTを搭載した「IGBTモジュールTシリーズ」。左がNXタイプ、右がスタンダードタイプ
[画像のクリックで拡大表示]
NXタイプの内部
NXタイプの内部
[画像のクリックで拡大表示]
NXタイプの内部構造(右側)(図:三菱電機)
NXタイプの内部構造(右側)(図:三菱電機)
[画像のクリックで拡大表示]

 IGBTモジュールの大手である三菱電機。同社は、2016年5月10~12日にドイツ・ニュルンベルクで開催されたパワーデバイスやパワーエレクトロニクス機器の展示会「PCIM Europe 2016」で、産業用IGBTモジュールの新製品を出展した。同社の第7世代のIGBTを搭載した「IGBTモジュールTシリーズ」の定格電圧(耐圧)1.7kV品である(関連記事)。従来は耐圧650Vと1200Vの2品種だった。今回のPCIM Europeでは、Tシリーズで採用した新技術と、1.7kV品で追加した技術の詳細について紹介した。

 Tシリーズの特徴は、パワーモジュールでは一般的な「ベースプレート」と呼ぶ金属板を省き、同プレートと絶縁基板を接合していたはんだを不要にして、信頼性を高めたことである(関連記事)。パワーモジュールでは一般に、IGBTやFWD(Free Wheeling Diode)のチップを絶縁基板に実装し、同基板の下にベースプレートを配置する。絶縁基板は、絶縁材料を薄いCu板で上下に挟みこむ構造を取る。Tシリーズの前世代品である、従来の第6世代のIGBTを採用した産業用モジュールでは、AlNを薄いCu板で上下に挟み込んだ絶縁基板と、Cuのベースプレートを用いていた。

 Tシリーズでは、基本構成はそのままに、絶縁基板のCu部分を厚くし、ベースプレートを省いた。絶縁基板の下側のCu部分が、これまでのベースプレートの代わりになっている。