日立グループのブース
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 日立製作所は、焼結Cuによるパワー素子の実装技術について、「PCIM Europe 2016」併設のカンファレンスで発表した。特徴は、Pb(鉛)フリーの実装材料でありながら、材料コストの抑制と信頼性の向上を図れることである。

 信頼性の指標となる「パワーサイクル耐量」を測定したところ、従来のPbはんだに比べて10倍以上のサイクル回数を達成した。具体的には、パワー素子の最大接合温度(Tjmax)175℃、「ΔTj」125℃という条件で、パワーサイクル試験を実施したところ、従来のPbはんだは5万回が限度だったが、焼結Cuの場合は55万回に達した。―40℃から+200℃の熱サイクル試験を実施したところ、サイクル回数が1000回に達しても問題は生じなかったという。

 まだPbフリー化が完了していない高出力パワーモジュール(例えば鉄道向け)でもPbフリーはんだが求められることや、年々パワーモジュールの出力密度が向上してパワー素子の動作温度が上昇していることから、信頼性が高いはんだ材が求められている。候補として挙がる材料が、熱伝導率が高いAuやAg、Cuだ。その中で一般的なのは、Agのナノ材料を焼結するものである。