2017年度の活動基本方針を説明するJIRAの小松会長
2017年度の活動基本方針を説明するJIRAの小松会長
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 日本画像医療システム工業会(JIRA)は、「2017 国際医用画像総合展(ITEM 2017)」内で記者会見を開催、会長の小松研一氏が登壇し2017年度の活動基本方針を示した。具体的には、次の4項目を活動方針として掲げた。すなわち、(1)地域包括ケアシステム構想に向けた画像医療システム産業発展への貢献、(2)ICT技術を活用した医療に貢献、(3)医療、医療システムの国際展開を支援、(4)JIRA基盤活動の充実と事業拡大に向けた活動強化、である。

 「JIRA発足当時の日本社会は高齢化率6.5%、国民医療費は3兆円だった。半世紀を経て高齢化率は4倍の26%、国民医療費はなんと13.5倍の41兆円へと増加した」。このようにJIRA発足からの半世紀を振り返った小松氏。社会環境や医療ニーズ、医療供給体制の変化を受け、「予防から診断・治療、予後、自立支援の一連の医療サイクルにおいて、今後一層の高度化が求められる。同時に有効性との両立を進め、社会保障給付の適正化を図っていくことが大きな課題」と指摘した。さらに、この課題解決のカギは、「第1に、医療ICTを徹底的に利活用すること。第2に、医療を世界市場ととらえて拡大していること」だと語った。

 活動方針の(1)の地域包括ケアシステムの構築に向けた画像医療システムでは、がんや循環器疾患の早期画像診断、先端放射線治療分野での規制緩和や国際標準化活動を推進する。また、今国会で成立した臨床研究法案に基づいて、実施・指導体制の提言を行う。2018年度の診療報酬改定に向けては、医療機器の適正な評価の実現を挙げ、「セキュリティー管理を充実させた徹底的な医療IT化、線量管理あるいは線量低減、省エネ、医療機器の保守充実など、各テーマで工業会として活動を推進していく」(同氏)とした。

 (2)のICT技術を活用した医療貢献では、厚生労働省の「保健医療分野におけるICT活用推進懇談会」が提言している「次世代型保険医療システム」の構築に関する提言と、その領域での事業拡大を図っていく。

 (3)の医療・医療システムの国際化を推進する施策としては、DITTA(国際画像診断治療機器業界会議)の副議長として、規制・規格の国際整合についての中期的な活動計画を策定し、国際規格策定プロセスの改善、規制への適用の際の課題解決の加速に取り組む方針だ。

 1967年9月の発足から創立50周年を迎えたJIRA。記念行事の一環として画像医療産業の入門書を発刊したほか、2017年6月には記念祝賀会を開催する予定という。