「健康食は美味しくない」を克服

 トップバッターを務めた竹屋旅館は、糖尿病患者が家族などの健常者と一緒に楽しめる食事レシピと、それを基にしたビジネスモデルを紹介した。医療機関や企業と共同開発したもので、発想の原点は「家族に1人は糖尿病患者がいるような時代を迎える中、家族と同じモノを食べられないことは患者本人だけでなく家族にとっても辛い。この苦しみを解消したいと考えた」(竹屋旅館 代表取締役の竹内佑騎氏)ことだという。

竹屋旅館の竹内氏
竹屋旅館の竹内氏
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 レシピ開発に当たって活用したのは、同社が持つ「医学×おいしさ」の技術。「医学」では、プロサッカーチームの宿泊を長年受け入れてきた実績を、血糖値を大きく変動させない食事レシピの開発に生かした。プロアスリートは「多くのカロリーや糖質を必要とするが、血糖値は変動させないことが大切。血糖値をぶらさないというポイントは糖尿病患者向けの食事にも共通する」(竹内氏)。「おいしさ」には、同社が擁するシェフの腕を生かした。

 こうしたノウハウを基に、フルコース「駿河湾レシピ」や宅配スイーツ「いとをかし」を開発。「通常食以上においしい」(竹内氏)ことがポイントで、いとをかしは地元の百貨店で販売したところ10分で完売したという。

 「レシピの大衆化」(竹内氏)にも力を入れており、レシピを大量生産向きに改良し、OEM生産などに対応できるようにしている。今後は外食産業や医療、観光産業などとの連携を通じたビジネス開発に挑む。