「重症度などでレベル分けされていないアラートを大量に出していると、本当に重要なものまで見落とされてしまう」――。

 東北大学 災害科学国際研究所 災害医学研究部門 災害医療情報学分野 教授の中山雅晴氏は2016年2月25日、「メディカルジャパン 2016大阪」の医療情報フォーラム専門セミナーに登壇し、薬剤の誤投与を防ぐために開発した東北大学病院のアラートシステムについて講演した。

 中山氏は東北大学病院のメディカルITセンター副部長および臨床研究推進センターTR医療情報部門部門長を兼任する。東北大学病院は病床数1225の大規模病院だが、電子カルテシステムが本格的に稼働したのはつい最近の2015年1月。それまで同病院が管理するアレルギー情報のプロファイルは「かなりシンプルなものだった」(中山氏)という。

東北大学災害科学国際研究所災害医学研究部門災害医療情報学分野教授の中山雅晴氏
東北大学災害科学国際研究所災害医学研究部門災害医療情報学分野教授の中山雅晴氏

 アレルギー情報の登録は、「原因となった薬剤」をアレルギー欄、「やってはいけない行為」を禁忌欄に記録することになっていた。だが、実際の運用では軽症の副作用をアレルギー欄、重篤な副作用を禁忌覧に記録することが多かった。ある病気で使用できない薬「病名禁忌」も禁忌欄に記録していたが、実際の治療では副作用を抑える薬を併用しながら、病名禁忌の薬を使わざるを得ない場合もある。「そうした注釈なしで、すべて同じように登録するのはどうなんだろうと迷っていた」(中山氏)