米Silicon Laboratories社は、2.4GHzの無線トランシーバーとCPUコア「ARM Cortex-M4F」などを1チップに集積したSoC「Wireless Gecko」を3種発表した(日本語ニュースリリース1:PDF)。同社は、ドイツ・ニュルンベルクで開催の「embedded world Exhibition & Conference 2016」(2月23日~25日)において、Wireless Geckoの記者発表会を行った。

登壇したDaniel Cooley氏(右端) 日経エレクトロニクスが撮影。スクリーンはSilicon Labsのスライドで、開発環境「Simplicity Studio」のマイコン開発機能などを説明している。
登壇したDaniel Cooley氏(右端) 日経エレクトロニクスが撮影。スクリーンはSilicon Labsのスライドで、開発環境「Simplicity Studio」のマイコン開発機能などを説明している。
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3種のSoCからなる Silicon Labsのスライド。
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「Wireless Gecko」の機能ブロック図と概要。 Silicon Labsのスライド。
「Wireless Gecko」の機能ブロック図と概要。 Silicon Labsのスライド。
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評価ボードを含む開発キットやチップ単価など Silicon Labsのスライド。
評価ボードを含む開発キットやチップ単価など Silicon Labsのスライド。
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 Wireless Geckoは、ThreadとZigBee、Bluetooth Smart、および(業界標準ではない)独自プロトコルをサポートする「Mighty Gecko」、Blutooth Smartと独自プロトコルをサポートする「Blue Gecko」(日本語ニュースリリース2:PDF)、独自プロトコルをサポートする「Flex Gecko」という3種のSoCからなる。登壇したDaniel Cooley氏(VP Marketing, IoT Products)によれば、「ハイエンドのMighty Geckoは、特にメッシュネットワークへの適用を意識して開発した」(同氏)。なお、Blue Geckoに関しては、昨年のembedded world 2015の基調講演でCEOのTyson Tuttle氏が、先行発表していた(日経テクノロジーオンライン関連記事)。

 3種のWireless Gecko SoCは、基本的に同じハードウエアスペックで、いずれも40MHz動作のCortex-M4Fと、最大256Kバイトのフラッシュメモリー、最大32KバイトのSRAM、最大出力19.5dBmの2.4GHz無線トランシーバー、鍵長256ビットに対応の暗号化回路、プログラマブル・パワー・アンプ、バランなどを集積している。

 省エネルギーに向けて、「Gecko テクノロジー」と呼ぶ複数の技術を備える。具体的には、複数の動作モード、スリープ/ノンスリープ間の短時間移行、「Peripheral Reflex System(PRS)」と呼ぶ「CPUコアのスリープ時に周辺回路を自律的に動作させる機能」などである。CPUコアの動作時消費電流は63μA/MHz。トランシーバーの動作時消費電流は最大8.8mAである。

 パッケージは、5mm×5mmの32ピンQFN、および7mm×7mmの48ピンQFNを用意する。現在、エンジニアリング・サンプルを出荷中である。量産出荷開始は2016年第2四半期を予定している。

 評価ボードは、ZigBee、Thread、Bluetooth Smart および独自のプロトコルをサポートするフル機能の「SLWSTK6000A Mighty Gecko Mesh Development Kit」、Bluetooth Smart および独自のプロトコルをサポートする「SLWSTK6020A Blue Gecko Starter Kit」、独自プロトコルをサポートする「SLWSTK6066A Flex Gecko Proprietary Starter Kit」の3種を用意する。

 開発用のソフトウエアツールは、MCUとRFの両方の設計をカバーする統合開発環境の「Simplicity Studio」である。この中には、無線アプリケーションを構成するための「AppBuilder」、チップのパケット・トレース・ポートを使用することによって無線ネットワークの状況を監視したりデバグしたりする「Desktop Network Analyzer」、消費電力などをモニターする「Energy Profiler」などが含まれる。