ISSCC 2016(2016年1月31日~2月4日、米国サンフランシスコ)のTechnology Directions分野のセッションでは、メディカル、セキュリティー、画像認識といったアプリケーション向けに、最先端の回路・システム技術が多数登場した。

 例えば、セッション16「Innovations in Circuits and Systems Enabled by Novel Technologies」では、従来のSi CMOS回路技術を用いたものだけでなく、アプリケーションの特徴に合わせて様々なデバイス技術を効果的に活用した回路・システムが報告された。米Intel社らは、標準のSi CMOS技術をベースとしたDNAシーケンシングチップを発表した(講演番号16.1)。センサーは、チップ上面に「ナノギャップ」と呼ばれる微少電極を形成することで実現した。標準CMOS技術を使用しているので、他の回路との集積化も可能で、小型・低コストのDNAシーケンシングシステムを実現できるとしていた。

 また、米MIT(Massachusetts Institute of Technology)らは、車の部品などの偽造を防止するワイヤレス認証タグを発表した(講演番号16.2)。認証を行うシステムでは、認証に用いる秘密情報を盗み取るような悪意ある攻撃にさらされる恐れがある。この発表では、強誘電体メモリーを用いて回路中の一部のフリップフロップを不揮発化することで、そのような悪意ある攻撃への耐性を持たせた。