「ISSCC 2016」(2016年1月31日~2月4日、米国サンフランシスコ)のデータコンバーターの2つのセッションには、それぞれ500人前後の聴講者が詰めかけた。例年と変わらず関心の高さが窺える(うかがえる)。今年のデータコンバーターの発表の特徴は2つ。1つは異なるアーキテクチャーを融合したハイブリッド型データコンバーターが多いこと。もう1つは、ここ数年発表件数が減少していたオーバーサンプリング型のデータコンバーターが今年は多いことである。

 データコンバーターのセッションは2つ。セッション27「Hybrid and Nyquist Data Converters」とセッション15「Oversampling Data Converters」で、合わせて16件の発表があった。ハイブリッド型データコンバーターは、セッション27だけでなくセッション15でも発表されており、データーコンバーターの全件数の1/3以上を占める。これほど多くのハイブリッド型データコンバーターが発表されたのは今年が初めてであり、新しい技術トレンドとして注目を浴びた。

 なかでも、逐次比較方式とΔΣ方式を組み合わせたA-D変換器が多い。逐次比較方式は電力効率が良いが、SNDR(=信号電力/(雑音電力+歪電力))は通常70dB程度が限界である。逐次比較方式をΔΣ方式と組み合わせたハイブリッド化は、逐次比較方式の電力効率の良さを生かしながら、これまでの逐次比較方式を超える精度を実現するのが主な狙いだ。