2016年に量産提供予定のV2V/V2X通信向けチップセットをSTマイクロエレクトロニクスが、第8回国際カーエレクトロニクス技術展(2016年1月13日~15日に東京ビッグサイトで開催)で展示している。IEEE 802.11pベースの無線通信を行うためのチップセットで、物陰から急に出てくるクルマやヒトの事前検出などへの応用を狙う。

左がAutotalksのRam Shallom氏で右がSTマイクロエレクトロニクスの本橋裕司氏 日経エレクトロニクスが撮影。
左がAutotalksのRam Shallom氏で右がSTマイクロエレクトロニクスの本橋裕司氏 日経エレクトロニクスが撮影。
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 ADASや自動運転を実現するために、クルマの周辺状況のセンシング技術は重要である。ヒトやモノの検出・認識では、カメラやレーダーが果たす役割は大きい。ただし、クルマと検出・認識対象の間に障害物があると、これらは役立たないことがある。例えば、自車の進行方向の先に四つ角があり、交差道路の左右から来るクルマはヒトの目では見えないし、カメラやレーダーでもとらえられないことが多い。そのまま進むと出会い頭事故を起こす恐れがある。

 クルマ同士が互いの位置を教え合って出会い頭事故を防ぐことは、V2V/V2X通信の目的の1つだ。無線通信を行えば、見通しが利かない場合でもクルマの周辺状況を把握できる。今回、STマイクロエレクトロニクスが見せているのは、伊仏合弁STMicroelectronics社とイスラエルAutotalks社が共同で開発中のIEEE 802.11pベースのV2V/V2X通信向けチップセット(ソリューション)である。これらのチップセットを使うことで、自社の位置・速度・移動方向をブロードキャストしたり、周辺のクルマが発したそれらの情報を取得できる。