「自動車メーカーと半導体メーカーの関係が変わる。その変化に我々は対応している」。こう語るのは、ルネサス エレクトロニクスの車載半導体事業の責任者である大村隆司氏(執行役員常務)だ。同氏に第8回国際カーエレクトロニクス技術展(2016年1月13日~15日に東京ビッグサイトで開催)で話を聞いた。

大村隆司氏 日経エレクトロニクスが撮影。
大村隆司氏 日経エレクトロニクスが撮影。
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 大村氏によれば、かつては、自動車メーカー(OEM)-部品メーカー(Tier 1)というOEMを頂点にした系列ごとに最適化するのが車載半導体(ここでは、「タイプ1の車載半導体」と呼ぶ)だったという。最近は、エレクトロニクスが得意なTier 1とそうでないTier 1の差が大きくなり、その結果として、世界市場では少数の強いTier 1(「Global Tier 1」と呼ぶ)が力を持つようになった。Global Tier 1らが決めた国際標準に合わせた車載半導体(タイプ2の車載半導体)が主流になってきたという。

 Global Tier 1が力を付けたことで、OEMとTier 1の関係も変わってきた。クルマの新機能のほとんどがエレクトロニクス(≒車載半導体)で実現されるため、そこをTier 1に任せきりにしていては、OEMは次世代のクルマ開発で主導権を取れない恐れがある。そこで、OEMが半導体メーカーと直接話をして最適な車載半導体(タイプ3の車載半導体)を開発するケースが出てきた。大村氏によれば、日本では現在でもタイプ1の車載半導体が主流だが、欧米ではタイプ2やタイプ3の車載半導体が増えてきており、ルネサスでは、タイプ2やタイプ3でのビジネスが進んでいるという。