多くのものづくり企業は、東日本大震災を受けて、事業継続計画(BCP)対策の1つとして地震の少ない九州に生産拠点を置いた。そこを襲った熊本地震は、改めてBCPのあるべき姿を考え直すきっかけになりそうだ。地震対策だけが、BCPの目的ではない、さまざまな非常事態が発生しても、事業が破綻することにない体制を構築するため、ものづくり企業が何よりも優先して考えるべきことは何なのか。さらに、新しい技術、ものづくりのトレンドの中で、BCPの観点からメリットが得られそうなモノはあるのか。IHSテクノロジーの南川 明氏が考察した。(記事構成は伊藤元昭)

南川 明(みなみかわ あきら)
IHSテクノロジー 日本調査部ディレクター

1982年からモトローラ/HongKong Motorola Marketing specialistに勤務後、1990年ガートナー ジャパン データクエストに移籍、半導体産業分析部のシニアアナリストとして活躍。その後、IDC Japan、WestLB証券会社、クレディーリヨネ証券会社にて、一貫して半導体産業や電子産業の分析に従事してきた。2004年には独立調査会社のデータガレージを設立、2006年に米iSuppli社と合併、2010年のIHSグローバル社との合併に伴って現職。JEITAでは10年以上に渡り,世界の電子機器と半導体中長期展望委員会の中心アナリストとして従事する。定期的に台湾主催の半導体シンポジウムで講演を行うなど、アジアでの調査・コンサルティングを強化してきた。

【質問1】熊本地震では、日本のものづくり企業は東日本大震災の教訓を的確に生かすことができたと思われますか。
【回答】震災後の教訓は生きているが、根本的な解決はできていない

【質問2】半導体のユーザーに、今回の熊本地震はどのようなインパクトを与えたと思われますか。
【回答】ハードからソフトへのシフトでサプライチェーンを強くする

【質問3】日本の半導体メーカーが、国際競争力と事業継続性の双方を強化するため、どのような戦略・施策を採る必要があると思われますか。
【回答】他社からは購入できない優れた製品を提供することに尽きる