ルネサス エレクトロニクスは、日本の自動車業界に献身的に尽くしてきた。しかし、過去の献身的によって、これからの同社事業の維持・継続を保証してくれるかと言えば、それほど甘くはない。
自動車業界は今、AIを駆使した自動運転への対応などに向けて、従来のピラミッド型業界構造を見直す必要性に迫られている。自動車メーカーが部品の仕様を指定し、その指示に従ってサプライヤーが作るといった方法では、日進月歩で進化し続けるAI技術や電子技術を取り入れて世界の競合に対抗することができなくなってきた。
トヨタ自動車は、自動運転用のAIプラットフォームを調達するため、米NVIDIA社と提携した。なぜトヨタはルネサスから、同様の技術を調達しないのか。ルネサスには、求められる技術・製品がないからだ。では、なぜルネサスには求められる技術・製品がなかったのか。おそらく、この時期にそうしたAIプラットフォームが必要になるという要請を、日本の自動車業界から申し渡されていなかったからだ。残念ながら、こと自動運転に関しては、日本の自動車業界は世界の潮流を生み出す側にはいない。
「ルネサスの復活は本物か?」と題して、ルネサスの現在と未来を議論している今回のテクノ大喜利。3番目の回答者は、アーサー・D・リトルの三ツ谷翔太氏である。自動運転などによる自動車業界の変化に関するスタディにも参画している同氏が、現在の自動車業界が求めている半導体メーカーの新しい役割と、そこでのルネサスの未来の可能性を考察する。
アーサー・D・リトル(ジャパン) プリンシパル