米Apple社が発売した「Apple Watch」は、デザインや操作性の高さ、そして何よりAppleというブランドでのスマートウオッチがついに登場したことから大きな注目を集めている。日経BP社は技術者塾の未来展望シリーズ「Apple Watch」編として、「分解・分析から推測する、AppleのIoT戦略」と題した講座を2015年10月27日に開催する(講座の詳細)。本講座で講師を務める清水洋治氏に、Apple Watchのインパクトについて話を聞いた。(聞き手は、日経BP社 電子・機械局 教育事業部)

――数多くの機器を分解してきた経験から、Apple Watchのインパクトをどう見ていますか。

 Apple Watchの搭載するモジュール部品「S1」にあると言えます。S1は、アプリケーションプロセッサーやメモリー、ストレージ、無線通信ICといった主要な機能を実現する27個もの半導体チップを、大きさが切手大程度と小さく、ごく薄いパッケージに格納したものです。S1を活用することで、さまざまなモノをIT化できるとみられ、IoT(internet of things)市場の核になる可能性すら秘めています。S1には最高水準の技術が幾つも使われており、技術分析からApple社の今後の展開についても透けて見えてきます。

 10月27日に開催する技術者塾では、Apple Watchに搭載されたS1の分析から明らかになった半導体技術や実装技術を紹介します。そして、他のスマートウオッチが用いている技術との比較を通じ、S1の特異性を示すとともに、S1の今後の進化の方向性を推測します。さらに、S1開発に込めたApple社の狙いに迫り、IoTへの展開の可能性を予測します(プログラムの詳細)。

――IoTやウエアラブル機器の進化を予測する上で重要なことは。

 センサーと近距離無線通信の技術進化を見ることです。近距離無線通信技術とは、具体的にはBluetoothやNFCなどです。

――その理由は。

 すべてのモノがつながるためには、通信技術が鍵を握るからです。また、“What”が今まで以上に重要になります。何を何のためにつなぐのかが問われます。かつてエレクトロニクス分野では“How”が重要視されましたが、IoTの進化においては“What”がより意味を持つようになります。

――10月27日の講座で、力点を置くポイントは。

 IoT時代におけるモノやサービスの価値とは何か。世の中の何を助けるのかについて議論します。重点が“What”へ向かう時代には、アイデアや人類の必要な次のアイテムがキーになるからです。

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記事掲載当初、タイトルに「Aplle」とありましたが、正しくは「Apple」です。お詫びして訂正いたします。本文は修正済みです。