──デザインマネジメントを学ぶ上でのキーポイントを教えてください。

田子氏:柔軟かつ多角的な思考を意識すること。社会的な課題に目を向け、その解決に向けてシステム構築を目指したシナリオを描くこと。既成概念にとらわれず、あり得ないと思うことにもチャレンジすること。そして、実現可能なプランを描くこと、です。

──本セミナーにおいて、どのようなポイントに力点を置いて説明されるご予定ですか? また、そのポイントに力点を置く理由についてもお教えください。

田子氏:イノベーションを求めている人はたくさんいますが、イノベーションがなかなか生まれないと嘆く声ばかり聞こえてきます。しかし、イノベーションを生みたいのであれば、何を作るかという前に「なぜ必要なのか?」を考え、問題解決のための柔軟な思考をもつことが大切です。

 イノベーションとは結果であって、目的ではありません。また、繰り返しになりますが、デザインとは色や形といった断片的な問題解決を目的としているのではなく、物事の本質を捉え、包括的に全体最適化されたシステムを構築することにあります。

 今回のセミナーでは、私が手掛けた商品開発事例の紹介とデザインワークショップを行うことで、「デザイン」を正しく深く理解することに力点を置きます。デザインを正しく理解することで、物事を多角的に捉え、問題解決のための選択肢や可能性を広げることができるのです。

──想定する受講者はどのような方ですか。また、受講者はどのようなスキルを身に付けることができますか。

田子氏:受講していただきたいのは、デザインをより深く理解したい方、イノベーティブな思考を求めている方です。

 デザインマネジメントを学ぶことで、物事の本質を捉え、新しい取り組みを多角的かつ戦略的に思考することができるようになります。また、経営や組織、人材、アウトプットのあり方を包括的に捉えながら、変革をもたらすアプローチを身につけることができます。

 言い替えると、先述したアップル社やアウディ社といった世界の一流企業が実践して成功を収めているデザインマネジメントの本質をつかむことができます。また、ものづくりに関する従来の考え方を抜本的に変え、視野を大きく広げることができます。そして、新製品や新技術、新事業の開発に役立つ新たな手法を習得できます。