──この学術・産業技術俯瞰システムを導入すれば、企業は効率よく価値のある学術論文を調べられるというわけですね。

坂田氏:それだけではありません。このシステムを使えば、有望な成長領域を予測できるのです。過去のデータから将来どのような属性群を持った論文(どのような特徴を持った学術論文)の引用が伸びるかを、機械学習によって予測するのです。これにより、将来的に成長が見込まれる技術領域(萌芽領域)やその関連領域、有力研究者を特定することができます。

 予測するのは、学術論文が発表された時点。「時は金なり」であるため、できる限り早く予測したいからです。従来は学術論文が出版されてから、コミュニティーの評価が徐々にあり、それを見て将来性を予測していました。これに対し、学術・産業技術俯瞰システムでは、過去の機械学習を活用して学術論文が発表された時点で、それが有望な成長領域であるかどうかを予測します。従って、他社よりも先に有望な市場を知ることができます。何年先でも予測できますが、3年先がポイントです。3年後に伸びるものは、その後も伸びる可能性が高いからです。各論文の引用の伸び率を予測する。実際、3年後に何をすべきかを知りたいという企業のニーズが高いのです。

 予測の精度は今、平均で70~80%といったところです。今後は、人工知能技術を開拓して、もっと精度を高めたいと思っています。