2015年11月の宇宙ビジネス通信をお届けします。11月は、世界各国から多くのニュースが報じられました。今月は、以下の5本をピックアップしました。

1位「Blue Origin社 ロケットの垂直着陸に世界で初めて成功」

 11月23日、Amazon.com社CEOのジェフ・ベゾス氏率いる米国Blue Origin社は、ロケットの垂直着陸に「世界で初めて成功した」(同社)と発表しました(ニュースリリース)。

 6月号でも紹介しましたが、世界のロケット産業のコスト競争は激化しています。Airbus Defence and Space社は、再利用型ロケット「Adeline」の第1段エンジンに翼を装備し、滑空飛行により回収する方法を、米United Launch Alliance(ULA)社は、第1段エンジンにパラシュートを装備しヘリコプターで回収するアイデアを、Space X社は、ブースターや第1段エンジンなどを自動制御で地上に垂直着陸させるアイデアを打ち出し開発を進めています。Blue Origin社は、Space X社と同様のアイデアでコスト削減を実現することを選択し、Space X社よりも先んじて成功しました。

 今回の実験では、ロケットエンジンの回収によるコスト削減と宇宙旅行の高い実現性を証明したものになりました。ロケットの先端には「New Shepard」という宇宙船を搭載し、打ち上げました。高度約100kmで「New Shepard」は分離し、約4分間の無重力時間を経た後、パラシュードで見事地球に帰還しました。さらに、打ち上げたロケットのBE-3エンジンも高度約100kmから地球へと戻り、垂直着陸することで見事に回収することができました。

 このニュースに見られるように、ロケットの打ち上げ価格の低価格競争はさらに激化するでしょう。また、宇宙旅行は、まだまだ価格が高いのが現状です。例えば、英国Virgin Galactic社の宇宙旅行の費用は、1名あたり約2500万円とも言われています。宇宙旅行の現実性は、技術的な安全性と価格が大きなポイントです。Blue Origin社の今回の実験成功により、宇宙旅行は低価格で身近な存在になるのもそう遠い未来ではないかもしれません。

Blue Originのロケット垂直着陸成功の動画
(出所:Blue Origin社ホームページ)