2016年2月の宇宙ビジネス通信をお届けします。

1位「SNS大手米国Facebook、衛星画像と人工知能(AI)で新事業」

 2016年2月22日、米Facebook社は、人工衛星で撮像された画像(リモートセンシング画像)と人工知能技術(AI)を活用して、世界の正確な地図作成に乗り出すと発表しました(ニュースリリース

 米国Facebookの狙いは、世界の正確な地図を作成することにより、どの国のどの地域にどれくらいの人が住んでいるのかを正確に把握し、グローバルブロードバンドの提供を最適化することにあるといいます。

 Facebook社 のConnectivity Labは、世界20カ国、約146億枚の衛星画像に対してAIの技術を活用し、人工建造物などを識別し、川沿い、道路沿いにどれくらいの住宅があり、どのようなコミュニティーが形成されるのかを分析したといいます。このAI技術は、同社の顔認識技術を応用したもので、自然災害のリスク評価や地域経済の評価分析などにも応用可能といいます。

 また、同日2月22日、Facebook社は、次世代の通信インフラの開発で世界の通信事業者や通信機器メーカー30社と提携すると発表しています。提携企業には、フィンランドNokia社、ドイツテレコム、米Intel社などの大手企業が含まれています。

 2015年10月の宇宙ビジネス通信でもお届けしましたが、Facebook社は、フランスEutelsat社と提携し、静止衛星AMOS-6を活用して、アフリカ地域へインターネット接続環境を提供する計画で、2016年後半にはサービスを開始するといいます。

 このニュースのポイントについては、次のように考えています。2つあります。まず、リモートセンシングビジネスの今後の発展に対するヒントになる点です。リモートセンシングは、従来から政府からの需要が大部分となる安全保障上の活用が多く、それ以外の活用では、ビジネスとしての成立性が難しいとされてきましたが、AI技術を活用して、詳細な評価分析を実施し、新しい知見を効率的に得ることができることで、新しいビジネスが創出されるかもしれません。

 さらに、今後宇宙ビジネスが、次世代通信技術5Gや、IoTやセンサーなどのデバイス技術、SDN/NFVなどのネットワーク技術、ビッグデータ分析などに必要となるAI技術などが切ってもきれない関係になる可能性があることです。

米国Facebookの衛星画像をAI技術を活用して分析した結果
米国Facebookの衛星画像をAI技術を活用して分析した結果
(出所:Facebookホームページ)