海外生産品でトラブル増加

──プラスチック製品のトラブルで目立つものを教えてください。

本間氏:依然として多いのが、新興国で成形したプラスチック製部品の強度トラブルです。製造コストを下げるためにプラスチック製部品を海外で成形し、複数の部品を組み合わせたサブアッシーまで現地で造る。そのサブアッシーを日本の工場の組み立て工程に運び、製品に組み付けて最終製品にする。ところが、検査工程で不具合が見つかり、原因を調査すると海外で成形したプラスチック製部品が強度不足だった、という具合です。

 こうした場合、品質保証の責任は最終製品を造る日本メーカーが負うことになります。新興国の成形メーカーに原因究明と対策を要求しても、対応できない場合が多い。自ら対策できる実力を備えているケースは極めて少ないからです。

 日本国内のプラスチックメーカーから材料を調達している場合は、そのプラスチックメーカーに相談し、分析や不良再現実験を行ったりして解決できることがあります。ところが、新興国の材料メーカーの場合はそうした体制をとっていないところが大半です。そのため、結局、日本の設計者がプラスチックの知識を身に付けて解決に持ち込むしかありません。

 なお、新興国で現地メーカーから材料(成形材料)を調達する場合、母材となるポリマーは日本メーカーや欧米メーカー製でも、それに現地メーカーが配合剤を混ぜた成形材料であることがほとんどです。材料の価格を少しでも抑える上で現地メーカーの成形材料を選ぶのは有効ですが、その分、プラスチックに関する知識やノウハウの不足は日本メーカー側でカバーしなければならないというわけです。