三浦 面接官は「Aには〇〇〇という栄養成分があって、我々が作っている食品は人間の健康を支えているんだよ」といった感じで答えてくれるんですが、栄養を考えるのであれば「Aじゃなく、モロヘイヤでもいいじゃないですか」と。

瀬川 それに対して、面接官は何と答えたの?

三浦 いろいろ説明してくださったんですが、「それは本心で言っていますか?」と尋ねたら、「君に言われたくない」みたいな感じで。「怖いな、会社って」と(笑)。

長岐 いいね。いいですね。

長岐 祐宏(ながき・ゆうこう)<br>1989年4月にセイコーエプソンの販売子会社であるエプソン販売に入社。約11年間、営業や技術、サポートの販売現場経験を得る。米DEC社との共同プロジェクトに参加し、ネットワーク技術の資格を取得。2000年からセイコーエプソンでプリンタ事業部、デバイス事業部、新規事業開発本部、システム事業部、開発本部の複数部門を経験。主に、新規商品の開発企画や事業企画を軸に活動する。特に2006年以降は他社と連携した大型新規プロジェクト(小型プリンターや小型プロジェクター、ハイビジョンビューワーなど)をリーダーとして取りまとめる。人事部を経験後、2013年11月に退職。他社のビジネスアドバイザーを行い、2014年10月にビジネスの新しいビジョン開発や、プロデュースを手掛ける「<a href="http://www.marcury-vision.com" target="_blank">MARCURY VISION</a>」を設立、代表を務める。(写真:稲垣 純也)
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長岐 祐宏(ながき・ゆうこう)
1989年4月にセイコーエプソンの販売子会社であるエプソン販売に入社。約11年間、営業や技術、サポートの販売現場経験を得る。米DEC社との共同プロジェクトに参加し、ネットワーク技術の資格を取得。2000年からセイコーエプソンでプリンタ事業部、デバイス事業部、新規事業開発本部、システム事業部、開発本部の複数部門を経験。主に、新規商品の開発企画や事業企画を軸に活動する。特に2006年以降は他社と連携した大型新規プロジェクト(小型プリンターや小型プロジェクター、ハイビジョンビューワーなど)をリーダーとして取りまとめる。人事部を経験後、2013年11月に退職。他社のビジネスアドバイザーを行い、2014年10月にビジネスの新しいビジョン開発や、プロデュースを手掛ける「MARCURY VISION」を設立、代表を務める。(写真:稲垣 純也)

瀬川 面接を遊んでる(笑)。

三浦 いや、遊んでないですよ。本気です。興味があるじゃないですか。

瀬川 確かに、「就職したい」と願うから、面接官に合わせちゃうと、それが長いサラリーマン生活の第一歩だったりするのかもなぁ。それをしなかったところを見ると、既に「やさぐれ」の可能性を秘めていたんですね。当時は、そういうタイプだったの? 何か、ちょっと相手の嫌がることを言うような。

三浦 いや、そんなことないと思いますよ。生意気に尋ねたつもりはなくて、本当にソフトに。

瀬川 だよね。僕が知っている三浦さんのイメージからすると、そのやり取りは想像しにくいんですよ。きっと、ピュアに目をキラキラさせて尋ねたんでしょうね。「どうして、その野菜なんですか」と。でも、就職活動をしている若い人は、意外にそういうところを観察しているのかもしれないね。

三浦 結局、大手企業ではピンと来なかったので、ベンチャー企業に就職活動先を広げました。「ベンチャー企業は、社長が出てきて焼き肉を食べながら熱い話をしてくれる」という話を聞いて。それから10人くらいのベンチャー企業の社長に会ったら、言い方は違いますけど、みなさんが話していることに二つの共通点がありました。

 まず「ビジネスというものは、もちろんカネ儲けなんだけど、自分が価値があると信じて、思いを込められる商品を世の中に出して、それを重要だと思ってくれる人がいる。その対価をお金でもらう。その関係性が大切だ」ということ。そして、「人生のほとんどを仕事が占めるので、何かの思いを持って仕事をして、それを通じて充実感や幸福感を得られるような社員を増やしたい」と。そういう話を聞いて、「ああ、確かに」と納得できたんです。