三浦 面接官は「Aには〇〇〇という栄養成分があって、我々が作っている食品は人間の健康を支えているんだよ」といった感じで答えてくれるんですが、栄養を考えるのであれば「Aじゃなく、モロヘイヤでもいいじゃないですか」と。
瀬川 それに対して、面接官は何と答えたの?
三浦 いろいろ説明してくださったんですが、「それは本心で言っていますか?」と尋ねたら、「君に言われたくない」みたいな感じで。「怖いな、会社って」と(笑)。
長岐 いいね。いいですね。
瀬川 面接を遊んでる(笑)。
三浦 いや、遊んでないですよ。本気です。興味があるじゃないですか。
瀬川 確かに、「就職したい」と願うから、面接官に合わせちゃうと、それが長いサラリーマン生活の第一歩だったりするのかもなぁ。それをしなかったところを見ると、既に「やさぐれ」の可能性を秘めていたんですね。当時は、そういうタイプだったの? 何か、ちょっと相手の嫌がることを言うような。
三浦 いや、そんなことないと思いますよ。生意気に尋ねたつもりはなくて、本当にソフトに。
瀬川 だよね。僕が知っている三浦さんのイメージからすると、そのやり取りは想像しにくいんですよ。きっと、ピュアに目をキラキラさせて尋ねたんでしょうね。「どうして、その野菜なんですか」と。でも、就職活動をしている若い人は、意外にそういうところを観察しているのかもしれないね。
三浦 結局、大手企業ではピンと来なかったので、ベンチャー企業に就職活動先を広げました。「ベンチャー企業は、社長が出てきて焼き肉を食べながら熱い話をしてくれる」という話を聞いて。それから10人くらいのベンチャー企業の社長に会ったら、言い方は違いますけど、みなさんが話していることに二つの共通点がありました。
まず「ビジネスというものは、もちろんカネ儲けなんだけど、自分が価値があると信じて、思いを込められる商品を世の中に出して、それを重要だと思ってくれる人がいる。その対価をお金でもらう。その関係性が大切だ」ということ。そして、「人生のほとんどを仕事が占めるので、何かの思いを持って仕事をして、それを通じて充実感や幸福感を得られるような社員を増やしたい」と。そういう話を聞いて、「ああ、確かに」と納得できたんです。