グローバル化が極度に進んだ今、日本経済だけを切り取って評価することはできないはずだが、その実、視野を広く保つことは難しい。今回は“素直な”モチベーションで起業した経営者2人が、それぞれの立場から世界を広く遠く見渡す議論を展開。いきいきらいふの左敬真会長は20年後にピークアウトする介護業界から、「ばくだん焼本舗」チェーンを展開するウッドボーイの塩塚晃代表は中国での経験と人脈を通して、それぞれ世界を語る。
左から、三反田氏、左氏、塩塚氏(写真:加藤 康)
左から、三反田氏、左氏、塩塚氏(写真:加藤 康)

三反田 今日は起業のいきさつというかきっかけというか、その辺りが普通じゃないお二人をお招きしました。仕事は全く違うんですが、普通にサラリーマンを経験したことがないまま起業しているし、2人ともすごく素直という特徴もある(笑)。他人からのアドバイスを聞いて今の道に進んでいるんですよね、2人とも。まずは自己紹介を兼ねて、どんなお仕事をしているかを、それぞれお話しください。

 はい。僕はもともと大学院で建築を学んでいて、いずれは設計士になろうと思っていました。そこで、これからの高齢社会に必要な建築がどんなものかをリサーチするために高齢者向けの施設を見に行ったりしていたのが、介護との最初の接点です。

 ある介護施設に行ったら、おじいちゃんがベッドに固定されていまして、「昔何をしていたんですか」と聞いたら「設計士」。夢をかなえて最高の人生だったかもしれないけど、子どもも孫もできた挙句に、ベッドから出られずに死ぬのはイヤじゃないですか。それがきっかけで介護の業界に入っていったというのが経緯です。今は訪問介護やデイサービスなどの在宅介護を中心にした会社を経営しています。

塩塚 「ばくだん焼本舗」という飲食店を全国で約30店舗運営しています。

 もともと僕は日本とあまり接点がない人間で、日本の大学に通っているときに、いろいろ考えるところがあって中退し、中国に飛んで、縁があってそのまま中国で10年くらい過ごしました。2014年7月に拠点を日本に戻すまでは、上海で日系飲食店のコンサルティングをやっていました。社長のかばん持ちから始めて、社長代理を務めるようになって、日本の大手企業のコンサルを手掛けていました。

 結構、成果も出していたので、独立するときには日本の企業を買って、どんどん海外に出していこうと投資家に声を掛けてもらい、その第一弾がばくだん焼本舗でした。

 逆に言うと、僕は日本での社会人経験が全くなく、中国でもまれて育ったので、日本の風土が合わない。日本的な常識がないというか。