武谷 ありますね。赤字で困っているお店と、出店資金を安く、内装も変えずに看板だけ変えてやりたいという企業をつなぐ。例えば、大家さんの了解をとって家賃プラス15万円で企業にお貸しすれば、お店の方は赤字が解消されるし、企業は初期費用を抑えて出店できる。ただ、飲食の事業者は料理人、シェフだったりするので、そういう人脈もなければノウハウもない。こういうサポートからサブリース事業が始まっています。

 困っている人を助けるところから始まった事業が多いですが、いろいろ関わっている中で「これは面白い」と思って始めた事業もありますよ。フレグランスデフューサーの事業はまさにそれ。

 初めて商品を見た場所はパチンコ屋でした。昔のパチンコ屋って、どこに行ってもタバコ臭かったじゃないですか。それが全然臭くなくて、いい匂いがする。これはすごいかもしれないとピンと来まして、日本の販売会社に直談判に行きました。もう販売代理店は締め切っていると言われたんですが、「いや、絶対にもうけるから!」と何度も会いに行って、4回目で、「もうそこまで熱意あるんでしたら一緒にやりましょう」と言ってくださって(笑)。おかげさまで4年でかなり大きな事業に成長しました。

 すごいんですよ。似たような製品はほかにもありますが、フレグランスの成分がナノ粒子で拡散されるので、3mの高さから床に落ちるまで18時間くらいかかる。普通のアロマ成分は重くて、拡散しにくいし、すぐ床に落ちちゃうんですが、このアロマデフューザーは拡散力がすごくてしかも長持ちする。世界的にはかなりのシェアがあって、シンガポールや香港でホテルに入ると、ああ、ここも入ってる、あそこも入ってるとすぐ分かりますね。

三反田 僕が高橋さんとお会いしたのが、ちょうどHanaHana Beniを沖縄から全国、世界へ出そうか、というタイミングでした。それで、アジアに強い武谷さんと会ったら面白そうだと思ったんですよね。ちょっとその展開を広げるというお話をしていただいてもいいですか。

高橋 そうですね。あの、石垣島のラー油ってご存じですか?

高橋 伸次(たかはし・しんじ)。グランディール 専務取締役。1984年北海道歯科技術専門学校卒業、2008年から現職(写真:加藤 康)
高橋 伸次(たかはし・しんじ)。グランディール 専務取締役。1984年北海道歯科技術専門学校卒業、2008年から現職(写真:加藤 康)
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武谷 ええ、ありますね。

高橋 あれは映画がきっかけで爆発的に広まったんですが、もともと沖縄にはラー油でご飯を食べる文化はないわけで、爆発的な販売は1年半程度で終わってしまった。これをまさに“ブーム”と呼ぶわけです。

 我々はそれを目の当たりにしてきたので、沖縄の人みんなが慣れ親しんでいる、知っている、おいしいと認識してこそ、初めて県外や海外で説得力を持つし、継続もするんだろうと思っていたんです。だから、まずはこんな大きいリュックに商品を入れて背負って、沖縄県内のホテル、飲食店を1軒1軒ノックして回ったんです。朝から営業している所もあれば、夜からの所もありますから、それこそ24時間営業で、肩にアザをつくりながらも営業してたんですよね。

 最初は扱ってもらえなかったんですが、それを見ていた方々がだんだん応援してくださるようになって、リゾートウェディング協会の方が「沖縄でウェディングするのに舶来品で乾杯するんじゃ面白くない、ぜひやりましょう」と認めてくれて、ようやく地元で広がり始めたんです。