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特許庁レポート 特許分析から探る日本の競争力

天然ガス・石炭液化燃料は中核技術で中国がリード

平成27年度特許出願技術動向調査:GTL(Gas to Liquid)関連技術

  • 特許庁総務部企画調査課
  • 2017/04/17 05:00
  • 1/6ページ

天然ガスから液体炭化水素を製造するGTL(Gas to Liquid)技術は、環境に優しいクリーン燃料供給技術としてのメリットなどで注目されている。石油メジャーや南アフリカ企業中心に開発されてきた同技術は、2000年代後半から、中国において、同国内に豊富に賦存する石炭活用の観点で、GTLと共通するCTL(Coal to Liquid)技術の独自開発が進み、日米欧中韓への特許出願件数では2008年以降首位となっている。昨今の原油価格の低落によって、対石油由来製品への価格競争力の面でGTL(CTL)技術の事業性は厳しい状況にある。その中で、プラント建設費削減に資する膜分離技術や排水処理技術など、技術の積み上げを有する我が国発の技術の競争力が期待できる一方、水素製造技術でもある合成ガス(水素と一酸化炭素の混合物)製造技術は、来る水素社会に向け、その技術革新が期待される。

 GTLとは、天然ガスから合成ガスを経由してナフサ、ガソリン、軽油などの液体炭化水素を製造する技術です。類似した技術には石炭を合成ガスに変換して液体燃料を製造する技術があり、これはCTL(Coal to Liquid)技術と呼ばれ、特に近年中国で盛んにプラント建設が進められています。 原油以外の化石資源から液体燃料を製造するこれらの技術は、液体燃料の供給源の多様化につながり、日本のエネルギー安全保障上重要な意味を持つものです。

 また、天然ガスや石炭から、常温常圧で液体の物質に転換することで、取扱性や可搬性が向上することによる付加価値向上や、石油由来燃料と異なり、硫黄分・芳香族を含まないクリーンな液体燃料供給技術としてのメリットも注目されています。 このような背景の下、特許庁は「平成27年度特許出願技術動向調査」において、GTL(Gas to Liquid)関連技術に関する特許出願動向を調査し、その実態を明らかにしました(特許庁による調査レポートの概要(PDF形式)こちら)。本調査の主要部分を本稿で紹介します。

 本調査は、天然ガス、石炭等を原料として、液体炭化水素類を製造するのに必要な要素技術を含むほか、得られた液体炭化水素自身も対象としました。本技術の対象とする技術とその範囲をGTL 関連技術の技術俯瞰図(図1)に示しました。

図1 GTL関連技術の技術俯瞰図
[画像のクリックで拡大表示]

 ここで、GTL(CTL)にはいくつかの経路が考えられます。一つは「合成ガス製造工程」→「フィッシャートロプシュ反応工程」→「アップグレーディング工程」等を経て、燃料油が製造される経路です。二つ目は「合成ガス製造工程」→「メタノール合成」→「メタノール転換」を経る経路です。さらに、今回は、石炭を直接液化して液体炭化水素を製造する技術も調査範囲に含めました。

  得られた液体炭化水素は、燃料として自動車や航空機などで用いられるほか、潤滑油、ワックスなどとしても用いられます。

合成ガス:水素と一酸化炭素の混合ガスのこと。
フィッシャートロプシュ反応:触媒を用いて合成ガスから、炭化水素主体の合成油と水を製造する反応のこと。1920年代、ドイツの技術者フランツ・フィッシャー(Fischer)とハンス・トロプシュ(Tropsch)が開発した技術。
アップグレーディング:水素化精製、水素化分解処理(所定の炭素鎖で切断、枝分かれ(異性化))を施すことにより、ナフサ、灯油、軽油などを製造する技術のこと。
メタノール転換:メタノールから、エチレン、プロピレンを作るMTO(Methanol to Olefin)やガソリンを作るMTG(Methanol to Gasoline)技術のこと。

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