高吸水性樹脂は、幼児用・大人用共に需要が伸びている紙おむつ製品の原材料として使用され、製品群の用途が拡大し、新興国市場での需要が増大しています。さらに、土壌の保水性を向上させる改質材など、高機能性樹脂として幅広い応用がされていることなどから、注目度が高まっています。

 高吸水性樹脂に関する技術分野において、我が国の企業は世界における高吸水性樹脂の生産能力の半分程度を保有し、同時に世界シェアの約50%を占めており、高い技術開発力と市場競争力を有しています。このような背景の下、特許庁は「平成26年度特許出願技術動向調査」において、高吸水性樹脂に関する特許出願動向や研究開発動向を調査し、技術革新の状況、技術競争力の状況と今後の展望について検討しました(特許庁による調査レポートの概要(PDF形式)はこちら)。同調査の主要部分を本稿で紹介します。

 図1に高吸水性樹脂の技術俯瞰図を示します。本調査での主要な対象技術分野は、(1)樹脂原料となる化合物・樹脂組成物に添加される化合物、(2)重合方法、(3)表面架橋方法、(4)後処理方法(乾燥方法など)、(5)特性評価技術、(6)応用技術です。

図1 高吸水性樹脂の技術俯瞰図
図1 高吸水性樹脂の技術俯瞰図
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