皆さま、こんにちは。キュア・アップの佐竹晃太です。本連載では、モバイルテクノロジーによる新しい治療アプローチの可能性や先進事例を紹介しています。前回は「モバイルバイスで頭痛を緩和!?」と題し、日本でも悩みを抱えている人が多い頭痛に対してモバイルテクノロジーでソリューションを提示する海外スタートアップ事例を紹介しました。今回は、モバイルヘルスを使ったメンタルヘルスの治療を提案している米国スタートアップ事例を紹介します。

認知行動療法に基づくアプリ

 米Ginger.io社は、スマートフォンでの行動分析に基づくサービスを提供しています。専用アプリをダウンロードすると、カウンセラーと無料の相談ができ、それを経て実際にどのような方法でケアをしていくかを決定するサービスです。

Ginger.io社が提供するアプリのイメージ(写真:Ginger.io社のホームページから)
Ginger.io社が提供するアプリのイメージ(写真:Ginger.io社のホームページから)
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 既に、世界150カ国で教育サービスを提供している企業において、社員への福利厚生として扱われています。企業が提供するEAP(従業員支援プログラム)の強化策として認知されてきているようです。

 さらに、米国平均の2倍近くの抗うつ剤が処方され、自殺率が非常に高い特殊な地域であるユタ州の地元クリニックとも連携しています。精神疾患患者など500人を対象にサービスを提供しており、こうした活動も注目を集めています。

 米国シリコンバレーとフィンランドに拠点を置くMeru Health社は、メンタルヘルスで苦しむ患者に対して、認知行動療法という「認知」とそこから導かれる「行動」の面から改善へとつなげる心理学的アプローチを採用しています。具体的には、認知行動療法に基づくアプリで、8週間のプログラムを提供しています。

Meru Health社が提供するアプリのイメージ(写真:Meru Health社のホームページから)
Meru Health社が提供するアプリのイメージ(写真:Meru Health社のホームページから)
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 このアプリとカウンセリングを通して、86%の参加者が無事に8週間のプログラムを終了したり、75%の参加者のメンタルヘルスの症状が約20%、もしくはそれ以上減少したりと一定の効果を見せているようです。