ガラス瓶メーカーだと聞いていたのに、お伺いして驚いた。何と、ペットボトルのシェアもトップなのである。元々、ビールや焼酎のガラス瓶メーカーの老舗なのに、である。
ガラス瓶のシェアがトップなのは分かる。だが、ペットボトルもトップとはどうしてか。ガラス瓶もペットボトルも両方なんて、一体、どうしてそうなるのか、不思議と言うしかない。
ガラス瓶メーカーから見れば、ペットボトルは敵ではないか。いや、敵どころか、天敵だ。焼酎から始まって炭酸飲料にもペットボトルが使われるようになり、ガラス瓶を駆逐する、まさに天敵のようなものではないか。それなのに、そのペットボトルのトップメーカーになるとは、一体、何がどうしてこうなったのか。
その種明かし、それは、聞けば聞くほど、この会社の経営戦略が素晴らしいのである。
一般的に、自然界で天敵が現れると、捕食される側の生息数はあるレベルまで落ちてしまうという。このケースで言えば、ガラス瓶はシェアを奪われるのである。
しかし、このメーカーは逆にペットボトルを取り込むことを考えたと言う。対抗するより、作ってしまえ。あえて天敵を取り込んで、自社製品として作ってしまったのである。
多分、社内では揉めたことだろう。ガラス瓶を駆逐するかのようなペットボトルを作ろうなんて、敵に塩を送るなんて話ではない。敵と結婚するようなものではないか。
そもそも、ガラス瓶とペットボトルは作り方が違う。違うどころか違い過ぎる。水と油どころか、ガラスと樹脂の違いは大きいなんてものじゃない。