開発のお手伝いをしていると、つくづく、開発とは総合力だと思う。それが企業なら、社内の様々な部署にある経営資源を発掘して見いだし、それらを最大限に活用し、いかにして成果に結びつけるかという、その総合力が大事なことである。

 それは国家であっても同じではないだろうか。国を治め国民の幸福を維持発展させるため、産業界や行政機関、そして大学や研究機関などが協力して国力を高めていくのである。これを産学官連携と言うのである。

 しかし、最近、いやここしばらくの間、この産学官の関係が、これほど連携できずに、むしろこじれているのはなぜだろうか。

 政治家は、何か不都合なことがあれば役人のせいにするし、役人は産業界に対して、まるで悪人を裁くかのように、上から目線で対峙する。そして、学者や研究者は論文を書けばそれでよしとばかり、研究のための研究としか言いようのない研究が多いように見える。

 一体、産学官連携とは、掛け声だけだったのか。