総花的な企業が優位に立つ

 4番目の質問は、「第4次産業革命によって、社会そのものはどう変化するのか」というものだった。工場や製造業が変化することで、我々の生活などにどのような影響が出てくるのかというわけである。

 法政大学の西岡氏は、「ものづくりの概念が変わる」と語った。造り手と使い手が明確に分かれていた時代が終わり、両者の境界がなくなっていくことで、人がものを消費するだけではなくものを生み出す喜びも求めるようになり、人の行動様式そのものが変わるという。

 武州工業の林氏は、これから多くの社会で高齢化が進む中、それを支えるという観点から製造業の役割が重要になるという。そのためには、「第4次産業革命によって中小企業同士をつないで、全体の生産性を高める必要がある」(同氏)。

 未来調達研究所の坂口氏は、「引き出し」を多く持っている企業が有利になると語った。「集中と選択」がもてはやされた時代には、事業領域が多岐にわたっていることは「悪」とされがちだった。しかし、新たなキャッシュポイントを見つけなければならない時代には、「総花的な企業の方がキャッシュポイントを生み出せる可能性が高い」(同氏)という。

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