3)介護IoT

 介護現場の業務改善や生産性向上に向け、各種センサーの活用や、それらをネットワークでつなぐIoTを活用する動きが2018年は活発になりそうだ。

 経済産業省が2017年3月に開催した「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2017」でグランプリを獲得したトリプル・ダブリュー・ジャパンの排泄予知デバイス「DFree」は、既に介護施設で利用されている(関連記事)。Moffは、ウエアラブルデバイスを活用して、介護保険制度の機能訓練に対応する自立支援サービス「モフトレ」を開発。同年8月に販売を開始した(関連記事)

 各種センサーのデータを一元的に収集・活用する取り組みも始まった。カナミックネットワークは総務省の「IoTサービス創出支援事業」の実証事業で、要介護者への介護サービスの向上と介護従事者の業務負担軽減を目指す(関連記事)。こうした介護IoTは、業務改善や生産性向上だけでなく、各種データを突合・分析することによる介護の質向上につながることも期待されている。

4)次世代医療基盤法

 「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」、いわゆる次世代医療基盤法が2017年5月12日に公布された。公布から1年以内、つまり2018年5月までには施行される見通しである(関連記事)

 同法施行の意義は、研究開発目的のための大規模な医療情報の収集と利活用の仕組みが確立されることである。2017年5月の改正個人情報保護法の全面施行によって、患者の医療情報は要配慮個人情報に指定され、情報の収集・活用が非常に難しくなった。ただし、次世代医療基盤法の下では、医療情報を患者の個別同意を得ることなしに国が認定する事業者が収集し、匿名加工化することが可能になる。これにより、大規模なアウトカム・リアルワールドデータを集積できる。

 このデータは民間企業にも販売される。創薬や医薬品市販後調査の高度化・効率化、革新的な医療機器の開発、医療分野の人工知能開発などに大きな成果をもたらすことが期待されている。