2017年8月に開催された、ある協会の設立総会で、来賓として登壇した経済産業省 商務情報政策局 商務・サービス政策統括調整官の江崎禎英氏はこう語りました。「ベンチャーは社会が変わる時に生まれるもの。まさに医療・ヘルスケアの分野は今、大きく変わろうとしている。だからこそイノベーションによって常識を変えることが必要だ」。

 デジタルヘルス分野ではここ数年、ベンチャーの動きが非常に活発になってきました。これはまさに、これから医療・健康・介護の分野に大きな変化が起こる予兆に他なりません。同時に起きているのは、例えば、物流・流通・小売、住宅・不動産といったこれまで必ずしも医療・健康・介護とは関係がなかった業界からの参入です。多種多様な業界が今、デジタルヘルスの活用によって自社のビジネスを変えていく可能性を模索しているのです。

 こうした動きは、既存の医療・健康・介護のプレーヤーにとっても、自らの価値を高めていく上で見過ごせないものになってきています。2017年10月に開催した「デジタルヘルスDAYS 2017」では、日本調剤 専務取締役の三津原庸介氏が「今までは考えられなかったさまざまな業種と薬剤師の力を合わせ、医療の質を向上させたい」と語り、ヘルステックNo.1カンパニーになることを標榜するフィリップス・ジャパン 代表取締役社長の堤浩幸氏は、今後に向けて「多種多様な業界とパートナーシップに基づいたエコシステムを構築することが重要だ」と指摘しました。

 実際、フィリップス・ジャパンはつい先日、ヤマトロジスティクスや札幌市、ソフトバンク、アルムなど多くのパートナーとの怒涛の異業種連携を発表しました(関連記事)

 このように、さまざまなプレーヤーが渾然一体となったイノベーションが起ころうとしている今、この分野にどのようなトレンドがあり、どんなトピックに注目が集まっているのか。また、急増しているベンチャー企業はそれぞれどんな方向性で活動を進めているのか。そして、多種多様なプレーヤーがどのような取り組みや発言をしているのか。日経デジタルヘルスは、こうした膨大な話題を整理したデータベース『日経デジタルヘルス年鑑2018』を2017年12月11日に発行しました。

全552ページの『日経デジタルヘルス年鑑2018』
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昨年版の全ページのPDFを収録したCD-ROM付き
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 昨年版で大きな反響をいただいた、第4章「ベンチャー/スタートアップ総覧」は、前回の62社から大きく増やし、今回は101社のデジタルヘルス関連ベンチャーの情報を収録しました。各社の企業・事業概要のほか、主要メンバーの経歴、将来の事業展望、株式上場/業務提携の意向の有無、提携先への希望などを共通フォーマットで掲載しています(101社のリストは、こちらの目次の第4章をご覧ください)。

 さらに、この101社を中心としたベンチャーを編集部が独自にマッピングした業界マップを作成。ご購入者が利用できるWeb版において、複数の業界マップを公開していく予定です。