こうした中、国が保険外サービスの育成を推進する動きが出てきました。3月にも厚生労働省・経済産業省・農林水産省の3省が共同で『保険外サービス活用ガイドブック(仮称)』を発行し、介護保険外サービスとなる家事代行や物品販売など数十事例を紹介。これまで法令や自治体の条例などとの関係で「グレーゾーン」と見なされ、行政機関が認めなかったサービスにも“お墨付き”が与えられる可能性があります。前述した訪問介護のヘルパーによる掃除や、通所介護事業所での弁当販売の事例も掲載されるかもしれません。

 小濱氏は、ガイドブック発行の介護業界への影響についてこう語ります。「今後、介護サービスを利用する団塊の世代は、多様な要望を事業者側に強く主張してくるだろうから、既存の介護保険サービスという“定食メニュー”で彼らのニーズに応えるのは不可能。オーダーメイドの自費サービスで対応することが必要であり、提供できない介護事業者は淘汰されていくだろう」。

 ガイドブックの詳しい内容は現時点でまだ明らかではありませんが、国の保険外サービスの推進政策はこれまで介護報酬の収入に依存してきた介護事業者に大きなインパクトを与えそうです。新サービスの市場拡大に期待しています。