高齢化により要介護者が増加する中、そのニーズに対応する目的で開発された医療・介護用ベッドが発売になった。要介護者や介護者・医師・看護師の要望にどうこたえていくのか、単なる寝具だったベッドに新しいアイデアが取り込まれた新製品について紹介したい。
ニーズを先取りするスペック
在宅での医療・介護ニーズが急速に高まりつつある。団塊の世代といわれる人たちが後期高齢者となる2025年には、在宅医療患者が100万人を超えるとの予測もある。
こうした状況変化に呼応して、介護・医療に適した本格的なベッドが発表された。パラマウントベッドが2017年末に発売した「エスパシア」という新製品だ。
特長を幾つか挙げてみよう。まずは、「介護」「福祉」「医療」という観点から、ベッドの機能を追求していることだろう。その一つが、ベッドの低床化とともに、ベッドからの起き上がり方式や姿勢制御の改良である。
起き上がる際には、ベッド全体が傾いて、下半身が低くなる状態になる。「カインドPLUSモーション」というシステムで、従来の上半身だけを起こすケースに比べ、起き上がりの身体のずれを25%程度軽減できるという。これにより、ずれや圧迫感が少なくなり、離床しやすいだけでなく、床ずれのリスクが軽減できる快適な寝方や座位を保つことが可能となる。
床高についても、万が一の転落時の衝撃緩和を目指して、15.5cm(超低床タイプ)や22cm(低床タイプ)もそろえた。低床ベッドとしては、これまでにない超低床であり、ベッド業界としても初めての試みとなるそうだ。
あえて言うなら、ニーズは“応える”ばかりでなく、むしろ未来ニーズを“喚起する”ことも重要だ。新製品企画には、こうしたニーズの先取り的な姿勢が望まれる。