顧客は17万5000軒を超える

 カリフォルニア州北部に位置するマリーン郡は、州で最初にCCA制度を導入した地方自治体である。マリーン・クリーン・エネルギー(Marin Clean Energy:MCE)というNPO法人が2008年に設立され、2010年からコミュニティーの電力需要をまとめ、電力を調達し始めた。

 「マリーン郡では、地球温暖化防止対策として建物部門からのCO2排出削減に取り組んでいます。電力消費によるCO2 排出量の抑制策として、再生可能エネルギーの導入を拡大できるCCAに着目しました」と、MCEでCEO(最高経営責任者)を務めるDawn Weisz氏は同機関の創設までの経緯について語った。

 MCEは、クリーンな電力を、安定した低価格で顧客に供給することを目標に掲げている。現在の電力プランは、「再生可能エネルギーの比率50%以上」を維持しているが、長期計画では、全てのプランを「再エネ比率100%」までに上げる予定である。現時点でのMCEの顧客数は17万5000軒を超えた。顧客は、乗り換えによって昨年1年間で約600万ドルの電気料金を削減したという。今年の電気料金削減額は、1060万ドルに達すると予想されている。

 CCAの仕組みは以下のようだ(図1)。まず、MCEが直接、再生可能エネルギー電力発電事業者などと電力購入契約を結び、地域独占電力会社(ここでは民間電力会社PG&E)の送配電網を使って、電力を市民に供給する。PG&Eは今まで通り送配電網の保有・管理、ビリング(電気代の請求書発行、 回収などの課金業務)を含む顧客サービスを行う。

図1●コミュニティー・チョイス・アグリゲーション(CCA)の仕組み。MCEがクリーンエネルギーを購入、または開発し、PG&Eが送配電を受け持ち、市民に電気を販売(出所 :MCE)
図1●コミュニティー・チョイス・アグリゲーション(CCA)の仕組み。MCEがクリーンエネルギーを購入、または開発し、PG&Eが送配電を受け持ち、市民に電気を販売(出所 :MCE)
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