大きく変化する将来のグリッド機能

 太陽光発電の導入拡大により、「グリッドサービス」への期待が大きく変化している。従来、グリッドに求められる基本的な特性は、ユニバーサルアクセス(誰でも利用可能)で、安全・安心で信頼でき、低価格で提供されることであった。

 だが、「ここ数年、分散型電源の導入が急拡大したことで、環境的に持続可能で、災害に強く、高い柔軟性・適応力を持つことを期待されている。加えて電力需要家に対応してより大きな制御力を持ち、より多くのサービスオプションを提供できることも、求められている」と、米研究機関Advanced Energy Economyで産業分析シニアディレクターを務めるRyan Katofsky氏は語った。

 電力会社は、従来のインフラの老化によるコスト上昇と電力需要の横ばい・減少による売り上げの低下、さらに多様な分散電源の統合など、多くの課題を抱えている。

 再生可能エネルギーには、出力を調節できるものと、できないものがあり、省エネや需要、蓄電池を協調制御することで「インテリジェントなグリッド」になるという。

 「これらの技術は、今までのグリッドでは提供できなかったサービスを需要家に提供できる。電力会社はビジネスモデルを変えなければならない」と、katofsky氏は続けた。

 蓄電池は分散型発電のさらなる導入を可能にし、より効率的なグリッドの活用、そして変電所、フィーダーなどのアップグレードを可能にする。これからの電力会社は、拡大する需要側での分散型発電と管理能力を認識し、分散電源のレバレッジ(梃子)効果を出す発想が求められる。そのためには、分散型発電という資源を各社のグリッドに取り込む将来計画(Distributed Resources Plan:DRP)を描きつつ、ビジネスを展開していくことが必須になりそうだ(図4)。

図4●今後ダイナミックに複雑化するグリッドと統合される複数の技術(出所:Advanced Energy Economy・Navigantリサーチ会社)
図4●今後ダイナミックに複雑化するグリッドと統合される複数の技術(出所:Advanced Energy Economy・Navigantリサーチ会社)
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