「時間帯別料金」適用で不公平を解消

 太陽光発電システムの導入加速に伴い、日中の電力供給量が大幅に増え、地域によっては日中の電力需要を上回る可能性が大きくなってきた。事実、太陽光発電の導入量が最も高いカリフォルニア州、そして太陽光発電の導入率が最も高いハワイ州において、見かけ上の電力需要(電力会社から受電量)がピークを迎えるのはすでに夕方以降である。

 この電力供給と需要のミスマッチが「ダックカーブ」と呼ばれる。今までのネットメータリング制度では、発電の時間に関係なく、基本的には小売り同等価格で電力会社に引き取られていた。しかし、電力会社は「公平」にするため、需要と供給をマッチさせた「時間帯別料金」または「リアルタイム・プライシング」の適用を考察している。

 そうなった場合、日中の発電分が今までよりも安い単価で買い取られ、夕方以降の電力消費量の購入価格が高くなり、家庭・ビジネスの太陽光発電による電気料金削減効果が大幅に減ってしまう。

 その結果、太陽光発電の経済的メリットが目減りし、導入が停滞する恐れもある。太陽光発電の導入割合が低い地域では、太陽光の電力が日中のピーク需要の削減に大きく貢献し、高い買取単価が適用される。しかし、導入の拡大に伴い、需要と供給のミスマッチが大きくなるため、買取価格が下がる、というループになる。

 LBNLの予想では、現在の小売り同等価格によるネットメータリング制度を続けた場合、米国の分散型太陽光発電市場(配電網に接続される住宅用と商業・公共・産業用システム)は2050年には累計157GWに拡大する。それは米国の総電力需要の4%に匹敵する。この予測を「参考値(reference)」として、「固定費回収(電気料金値上げ)」と「時間帯別料金」のシナリオを分析した(図2)。

図2●米国における分散型太陽光発電の累積導入量予測(出所:Lawrence Berkeley National Laboratory)
図2●米国における分散型太陽光発電の累積導入量予測(出所:Lawrence Berkeley National Laboratory)
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