変換効率は未公表のまま

 実際には、一般の太陽光発電システムとテスラ社のソーラールーフの設置コストは、単純に比較できない。なぜならソーラールーフは太陽光発電システム「プラス」屋根材だからである。

 ちなみに、上記の住所のエリアにアスファルトシングルを使用した葺き替えの総工事費は、平方フィートあたり約3.57~5.97ドルと言われている。もし、881平方フィートの屋根の葺き替え工事をした場合、総工事費(廃材撤去も含む)は3148.39~5258.22米ドルとなる。真ん中をとって4000ドルを屋根設置費とした場合、太陽光発電部分のコストは1万9300ドル(2万3300ドルから4000ドルを引く)となる。グーグル・サンルーフプロジェクトサイトで見積もられた従来の太陽光発電システム価格の27%となる。

 こうした価格を見て、テスラ社のシステムが安いか高いか感じるのは個人によって違うと思うが、このソーラールーフには、さらに幾つかの「ミステリー」が残っている。

 同社は、ソーラールーフをカリフォルニア州にあるフレモント工場で2017年第2四半期からパイロット生産を開始し、その後ニューヨーク州にあるギガファクトリー工場に生産を移行する予定と発表している。

 日本メーカーのパナソニック社が、ソーラールーフの太陽電池セル(発電素子)の製造運営と資金面に関しサポートすることになっているが、実際の変換効率は発表されていない。

 実は、「屋根材一体型」太陽電池の概念はこれまでにもあり、製品化されたこともあった。だが、パネル1枚が小さく、屋根と太陽電池の間にスペースがないので熱がこもりやすい、などの課題も指摘されていた。現実的にも変換効率が低く、値段の割に発電量が少ないこともあり、今まで大きな市場には発展しなかった。

 タイルの変換効率が未だに「ミステリー」で、販売予約時に1000ドル納めなくてはならないが、予約販売開始16日で2種類のタイルは完売したそうだ。