需要を増やす「DR」が必要に

 さらに、CAISOが数年前に提示した「ダックカーブ」の到来が早くなると予想されている。「ダックカーブ」とは、太陽が照る日中は見かけ上の電力需要が低くなり、太陽の沈む頃から需要が急激に増え、さらに、太陽光発電の供給と需要のギャップが太陽光の導入が拡大するとともにさらに広がり、昼間には供給過剰が生じる、というものだ(図4)。

図4●上図は時間帯別ネット電力需要(2017年3月11日)、赤線は総電力需要を示し、緑線は総需要から大規模太陽光発電と風力による電力供給量を差し引いたネット需要、下図は、時間帯別風力・太陽光発電供給量、青線は風力、オレンジ線は太陽光発電
図4●上図は時間帯別ネット電力需要(2017年3月11日)、赤線は総電力需要を示し、緑線は総需要から大規模太陽光発電と風力による電力供給量を差し引いたネット需要、下図は、時間帯別風力・太陽光発電供給量、青線は風力、オレンジ線は太陽光発電
(出所:CAISO)
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 出力抑制は一般的には最終手段とされている。通常、供給が需要を超えると、電力(取引)価格が下がり、対応として、発電調整の効く発電所を運営する発電事業者は発電量を減らす。しかし、CAISOにおける供給過剰は、調節の効かない、柔軟性に欠ける再エネ発電所から生じている。さらにネガティブプライスも引き起こした。

 供給過剰が予測されると、CAISOは「焚き増し」の逆の「焚き減らし」入札依頼を出す。つまり、電力供給削減量の取引で、 発電事業者が削減した電力量を卸市場で取引する。もし、自発的な「焚き減らし入札」で供給過剰を吸収しきれなかった場合、CAISOは、強制的な出力抑制に腰を上げなければならない。

 供給側だけではなく、需要側からでもこの状態を緩和できる。従来のデマンドレスポンス(DR:需要応答)は、需要家側に電力の使用を抑制するように促す仕組みで、基本的には電力ピーク時の電力消費を抑える「節電」型である。しかし、再エネの「出力抑制」を防ぐには、逆にオフピーク時つまり昼間の電力消費を促し、供給余剰を吸収する必要がある。現在、同州ではこのための時間帯別電気料金制度が練り上げられている。