「お金を払って発電する」状態に

 カリフォルニア州では2014年からメガソーラーの新設が加速し、2016年には3GW以上のメガソーラーが新たに建設された。現在、同州には累積18GW以上の太陽光発電が導入されているが、この内9GW以上が高圧送電網に接続されているメガソーラーで、残りが配電網に接続される屋根置きを含む分散型太陽光発電システムである。

 同州では、空調がなくても過ごしやすい冬の終わりから春先にかけ、昼間の電力需要が年間で最も低い「昼間軽負荷期」となる。一方でこの時期、日が伸びるにつれ太陽光の発電量が伸びてくる。そこに、豊富な水力発電が加わり、電力供給が過剰となっている。こうした需給のゆるみを反映し、卸電力市場の前日市場・リアルタイム市場では、過去3カ月間の中で最も低い価格で取り引きされることになった。

 2013年~2015年の3月における午前8時から午後2時の間のMWh当たりの卸価格は、約14~45ドルであったが、今年3月の同時間帯におけるMWh当たりの卸価格は0ドルを下回る「ネガティブプライス」を付けたことが何回かあった。

 「ネガティブプライス」は、稼働停止、または再稼働にコストのかかる発電所を運営する事業者が、技術的に許容される最低の設備利用率以下に稼働率を下げない、または完全な稼働停止を避けるための手段として使われる(図2)。つまり、発電設備の稼働率を維持するために「お金を払って発電する」ということになる。

図2●CAISOでのリアルタイム市場平均取引価格(1月、2月、3月の電力平均取引卸価格、青線が2017年の価格)
図2●CAISOでのリアルタイム市場平均取引価格(1月、2月、3月の電力平均取引卸価格、青線が2017年の価格)
(出所:EIA)
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