分散型太陽光発電システムの大量導入で、日中の電力消費量を発電量が上回り、さらに夕方の太陽光の発電が止まる頃、電力需要が急激に上昇するという現象が指摘されている。近い将来、こうした大きな需給ギャップを埋めるのが困難になるのでは、という懸念が数年前、カリフォルニア州で指摘され始めた。

ピーク需要は夕方から夜

 この現象は「ダックカーブ」と呼ばれる。2013年から2020年にかけてのカリフォルニア州における時間別「実質電力需要」と「供給量」のグラフの変化に、その現象が表れている(図1)。この場合の「供給量」とは、電力会社の大規模・集中型発電所から供給される電力量。「実質電力需要」とは、全体の電力消費量から、消費者側の配電網に接続された分散型太陽光・風力発電などの発電量を差し引いたものである。

図1●カリフォルニア州の実質電力需要の変化(出所:California Independent System Operator)
図1●カリフォルニア州の実質電力需要の変化(出所:California Independent System Operator)
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 元々電力需要を示すグラフは朝から昼にかけ緩やかに上がる。アヒルのしっぽから背中のような曲線を表す。しかし、分散型太陽光発電の導入量の増加につれて、アヒルの背中がお腹へと逆の曲線に変わっていく。太陽光発電などの分散型発電を導入すると、家庭の電力需要は太陽光の電力で賄われるようになり、電力会社から購入する電力量が減る。つまり、分散型太陽光発電の大量導入で、昼間の「実質電力需要」が大きく下がり、この時、電力会社から供給される電力が過剰になる恐れが心配され始めた。