ここ数年、太陽光発電システムの価格が大幅に低下したが、米国ではいまだに太陽光発電は「お金に余裕のある家庭用のもの」とされている。そんなイメージがカリフォルニア州で変わろうとしている。

 昨年10月、カリフォルニア州のJerry Brown知事は低所得世帯に太陽光発電(PV)導入を促進する米国最大規模の法律案(低所得者向け賃貸集合住宅用にソーラープログラム)に署名し、同法を成立させた。このプログラムの年間予算は1億米ドルで、10年間の実施が予定されている。

 カリフォルニア州太陽光発電産業協会(CALSEIA)でエグゼクティブディレクターを務めるBernadette Del Chiaro氏は、「この法律はカリフォルニア州にとっても重要な新しいプログラムです。なぜなら、賃貸を含めた全ての電力消費者が、汚染を出さない太陽光発電の恩恵を、住んでいる場所、または働いている場所で得られるようになります」と、語った。

 このプログラムを通し、同州は、少なくとも300MWの太陽光発電システムを低所得者向け賃貸集合住宅に導入する目標を掲げている。「最低300MWです。我々はどちらかというと500MWを目指しています」と、米Everyday Energy社でCEO(最高経営責任者)を務めるScott Sarem氏は語った。同社は、カリフォルニア州サンディエゴ市に本社を置き、同州において、低所得者向け賃貸集合住宅用への太陽光発電システムの設置量でナンバーワンであり、さらにこの法律の提案書作りにも大きく貢献した。

 「このプログラムは『必要性』から生まれました」と、Sarem氏は続けた。カリフォルニア州の太陽光発電設置導入量は米国で最も多く、低所得者向けアパート用太陽光発電の補助金制度に関しても、実は前から取り入れていた。しかし、幅広く利用されず、成功を収めたとは言えなかった(図1)。

図1●カリフォルニア州サンディエゴ市の低所得賃貸住宅(全92世帯)に設置された太陽光発電システム。合計出力202kW。(出所:Everyday Energy社)
図1●カリフォルニア州サンディエゴ市の低所得賃貸住宅(全92世帯)に設置された太陽光発電システム。合計出力202kW。(出所:Everyday Energy社)
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